開催概要


教育・学習活動に関するデータを有効活用して、エビデンスに基づく教育、およびそのデータを活用して、教育改善のための研究を推進してゆくことは、人材の育成にとって最優先の重要な課題です。また、教育・学習活動に関するデータは個別の教育機関での利活用だけではなく、全国的にも利活用できる仕組みを作ることが、教育政策を議論する上で欠かせないものとなっています。日本学術会議では、①教育・学習関連データの収集、利活用に関する国内外の現状把握と問題点の整理、②教育・学習関連データとして収集するデータの種類とそのデータが教育効果測定に果たす役割の整理、③全国レベルでデータを収集する上でのデータの標準化等に係る問題の整理に関して議論を進めるために、日本学術会議では心理学・教育学委員会と情報学委員会が合同で、教育データ利活用分科会を2018年に設立致しました。また、教育データの分析(ラーニングアナリティクス)に関して、内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期/ビッグデータ・AIを活用したサイバー空間基盤技術「エビデンスに基づくテーラーメイド教育の研究開発」、及び、日本学術振興協会 科学研究費補助金 基盤研究(S)「教育ビッグデータを用いた教育・学習支援のためのクラウド情報基盤の研究」等の大型研究も推進されております。本シンポジウムでは、これらの研究を紹介し、国レベルでの教育データの利活用やエビデンスに基づく教育の実現について議論します。皆さまのご参加をお待ちしております。


イベント詳細


日時:2019年3月22日 金曜日 13:00 ~ 18:00 (12:30受付開始)

場所:京都大学吉田キャンパス 国際科学イノベーション棟5階 シンポジウムホール

参加費:無料

申込URL:https://goo.gl/WWjKJW(先着200名)

席に限りがございます。定員を超えた場合、先着順で参加申し込みを締め切らせていただく場合があります。早めの参加申し込みをお勧めします。

主 催:日本学術会議 心理学・教育学委員会・情報学委員会合同教育データ利活用分科会
協 賛:日本学術振興協会 科学研究費補助金 基盤研究(S)「教育ビッグデータを用いた教育・学習支援のためのクラウド情報基盤の研究」

後 援:SoLAR (Society for Learning Analytics)、
一般社団法人 日本オープンオンライン教育推進協議会(JMOOC)、
京都大学 学術情報メディアセンター

・チラシA4(PDF)2628kb

・ポスターA2(PDF)2244kb


プログラム


タイムテーブル
12:30 開場
13:00 開会の挨拶・趣旨説明
  緒方 広明(京都大学学術情報メディアセンター教授)
第一部:教育データの利活用(日本語)
13:15 基調講演
安西 祐一郎(独立行政法人日本学術振興会顧問・同学術情報分析センター所長)
「教育・学習データの重要性と将来展望」
13:45 基調講演
美濃 導彦 (国立研究開発法人 理化学研究所 理事)
「ラーニングアナリティックスへの普及へ向けて」
14:15 休憩
14:30 パネル討論(テーマ・教育データの利活用について考える)

パネリスト(学術会議教育データ利活用分科会委員)

  • 乾 健太郎(日本学術会議 連携会員、東北大学 大学院情報科研究科 教授、
    理化学研究所AIPセンター 自然言語理解チームリーダー)
  • 楠見 孝(日本学術会議 連携会員、京都大学 大学院教育学研究科 教授)
  • 柴山 悦哉(日本学術会議 第三部会員、東京大学 情報基盤センター 教授)
  • 西田 眞也(日本学術会議 第一部会員、NTTコミュニケーション科学基礎研究所 上席特別研究員)
  • 藤村 宣之(日本学術会議 連携会員、東京大学 大学院教育学研究科 教授)
  • 前田 香織(日本学術会議 連携会員、広島市立大学 大学院情報科学研究科 教授)
  • 松下 佳代(日本学術会議 第一部会員、京都大学 高等教育研究開発推進センター 教授)
  • 宮地 充子(日本学術会議 第三部会員、大阪大学 大学院工学研究科 教授)

15:50 休憩
第二部:研究事例報告
16:00 基調講演(英語)
 Abelardo PARDO(SoLAR President, Professor, University of South Australia)

“Supporting Evidence-Based Education through Learning Analytics”

16:30 ラーニングアナリティクスの研究事例紹介(英語)
  • Shian-Shyong TSENG (Vice President, Asia University, Taiwan)
  • Stephen J.H. YANG (Professor, National Central University,  Asia University, Taiwan)
  • 島田 敬士(九州大学システム情報科学研究院 准教授)
  • 山田 正寛(九州大学基幹教育院 准教授)
  • 西岡千文(京都大学附属図書館助教)
  • Ivica BOTICKI  (京都大学客員准教授、Associate Professor, University of Zagreb)
  • Brendan FLANAGAN(京都大学学術情報メディアセンター特定講師)
  • Gokhan AKCAPINAR(京都大学学術情報メディアセンター特定研究員)
  • Rwitajit MAJUMDAR(京都大学学術情報メディアセンター特定研究員)

18:00 閉会


基調講演者紹介


安西 祐一郎(独立行政法人日本学術振興会顧問・同学術情報分析センター所長
講演タイトル 教育・学習データの重要性と将来展望
講演要旨
21世紀の時代潮流であるdigital transformationが、教育や学習の世界をも覆うようになった。デジタル技術をベースに教育や学習に関するデータを蓄積し分析して学習者の能力を高めることは、先進国の多くが進めようとしている教育や学習の在り方にほかならない。日本でもようやく、内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の一環として、認知プロセスに踏み込んでデータ基盤を整備するとともにAI技術を援用して学習者一人ひとりが自らの能力を最大限に発揮できるように支援することを目標とした、大規模なプロジェクトが発足した。本講演では、このプロジェクトの概要を述べるとともに、「データ重視の教育・学習」における学術的・社会的問題および将来展望について述べる。
略歴
1974年慶應義塾大学大学院工学研究科博士課程修了。カーネギーメロン大学人文社会科学部客員助教授、北海道大学文学部助教授、慶應義塾大学理工学部教授等を経て、独立行政法人日本学術振興会理事長(2011-18)。慶應義塾大学理工学部長(1993-2001)、慶應義塾長(2001-09)、日本学術会議会員(2005-11)、中央教育審議会会長・同大学分科会長、環太平洋大学協会会長、日本私立大学連盟会長等を歴任。現在内閣府人工知能戦略実行会議座長、同SIP「ビッグデータとAIを活用したサイバー空間基盤技術」PD、国連事務総長ハイレベルパネル「デジタル協力」メンバー、日本ユネスコ国内委員会会長等を務める。認知科学・情報科学専攻、世界に先駆けたlearning by doingおよびhuman-robot interactionの研究で知られる。Learningとinteractionに関する認識論の研究により博士(哲学)の学位を取得(2018)。文化功労者、フランス共和国教育功労章コマンドゥールほか多数受章。

美濃 導彦 (国立研究開発法人 理化学研究所 理事)
講演タイトル ラーニングアナリティクスへの普及へ向けて
講演要旨
エビデンスペースの教育の重要性が声高に叫ばれるようになってきた。現在のところ、エビデンスとなる情報はLMSや電子教科書のアクセスログが主流である。これらのデータは本当に学生の教育のエビデンスになっているのであろうか?教育を情報的なスタンスでとらえ、情報とは何かという根源的な問題を考えることにより、教育における情報の役割を考察するとともに、これまでに行ったICT利活用教育の実践研究について振り返り、今後進むべき方向性を考える。
略歴
京都大学工学部情報工学科卒業.同大大学院博士課程修了.京都大学工学部助手,京都大学工学部附属高度情報開発実験施設助教授を経て,京都大学学術情報メディアセンター教授.平成18年4月より同センター長(平成22年3月まで).平成20年10月より京都大学総長室副室長を兼任(平成22年9月まで).平成22年10月より京都大学副理事(平成24年9月まで),C.I.O,情報環境機構長に就任(平成28年9月まで).平成30年3月に同学を退職、同4月より研究開発法人理化学研究所理事.画像処理,人工知能,知的コミュニケーション関係の研究に従事.工学博士.IEEE,ACM,情報処理学会,電子情報通信学会,画像電子学会,日本バーチャルリアリティ学会各会員.電子情報通信学会,日本バーチャルリアリティ学会フェロー.

Abelardo PARDO(SoLAR President, Professor, University of South Australia)
講演タイトル Supporting Evidence-Based Education through Learning Analytics
講演要旨
The widespread availability of data collected while learners participate in an experience is perceived as an opportunity to increase its quality. Typical use of this data includes the creation of predictive models for retention and/or student engagement. But the data can also be considered as “evidence” of how learners engage with tasks. Educational institutions need to have robust procedures to ensure that support and verify that graduates acquire the adequate skills. Data and learning analytics methods may contribute to these procedures by transforming the collected data into knowledge and further into evidence. In this talk we will review first how learning analytics are integrated as part of a learning experience and the type of data and sensemaking procedures that can be used to provide evidence of learning.
略歴
Abelardo Pardo is Professor and Dean Academic at the Division of Information Technology, Engineering and the Environment at the University of South Australia. His research interests include the design and deployment of technology to increase the understanding and improve digital learning experiences. More specifically, his work examines the areas of learning analytics, personalized active learning, and technology for student support.He is the author of over 150 research papers in scholarly journals and international conferences in the area of educational technology and engineering education. He is currently member of the executive board and vice president of the Society for Learning Analytics Research (SoLAR).

連絡先


当シンポジウムに関するご質問やお問い合わせは以下の連絡先まで
〒606-8501 京都市 左京区 吉田ニ本松町

京都大学 学術情報メディアセンター 南館 404
緒方研究室
E-mail:contact[at]let.media.kyoto-u.ac.jp
([at]を@に置き換えて送信してください)
TEL:075-753-9052