生涯学び続ける社会における多指標・多観点・多視点による評価・認証システムの開発
タイトル | 生涯学び続ける社会における多指標・多観点・多視点による評価・認証システムの開発 |
研究代表機関 | 東北学院大学 |
研究開発責任者 | 稲垣忠 |
(A-3)多指標・多観点・多視点による評価・認証システムの開発 (a-4-①)
本研究では、学校現場で実施されている自己評価、相互評価、教師による評価など、多様な視点からの評価に加えて、システムが提供するログデータを組み合わせることで、これまで評価が難しかった側面を捉えようとしています。本SIP課題が目指している「新たな学び」として、総合的な学習(探究)の時間や各教科で(あるいは教科横断的に)実施されている探究学習を対象に評価の枠組み、支援システム、データによる学習過程・学習成果の可視化に取り組んでいます。
(A-3-1)多視点による評価指標の開発
学習ログ、自己評価、相互評価、教師による評価、アセスメント等の複数の視点を組み合わせた新たな指標を開発します。評価の指標には、課題発見・解決能力、言語能力、情報活用能力や非認知能力に関わる資質・能力(コンピテンシー)と、探究の学習成果として学ばれた内容(コンテンツ)の両方の側面を含むものを想定しています。
探究学習における評価について整理したのが図5です。従来から学習過程を蓄積するポートフォリオ、学習の質的な水準を示すルーブリック、実際の文脈で身につけた知識やスキルを発揮するパフォーマンス課題等が用いられてきました。これらに対して本課題では、①教育データとして探究の過程の可視化、②アセスメントと教育データの関係の可視化、③探究の学習成果を可視化する手法の開発、を行っています。
①の探究過程の可視化については、特に情報収集場面に着目しています。児童生徒は図書、ウェブ、フィールド調査など、多様なメディアから情報を集めています。誰がどのような情報を集めているのか、進捗状況はどの程度なのかを可視化することで、タイムリーな評価とそれに応じた支援が可能になります。開発中のRefNavi(レフナビ)では、生徒が集めた情報をデータベース化し、時系列、メディア種別、ジャンル、難易度など多様な指標で可視化することを支援します(図6)。
②のアセスメントと教育データの関係については、民間企業が提供しているさまざまなアセスメントテストでは、それぞれに多様な資質・能力の評価がされています(図7)。アセスメントで得られた結果と学習過程で蓄積される学習ログがどのような関係にあるのかを分析することで、アセスメント結果の要因となった学習行動、学習状況を把握することを目指しています。
今後は、学習ログから観点別評価に役立つ指標の抽出や、他の評価手法や学習成果をもとにDTを構築する方法を開発するとともに、知識マップと関連づけることで、OKLM DTに格納できるようにしていきます(図8)。
③の探究の学習成果を可視化する手法の開発では、児童生徒の探究の過程および成果物にどのような学習内容が含まれるのかに着目します。学習指導要領コード、日本十進分類法(NDCコード)などと結びつけることにより、学習成果をオープンに価値づけられる方法を開発します。その際、①で開発するRefNavi上で収集した情報の分類を参照することや、学習成果をオープンバッジで認定する仕組みの実証等を行います。
(A-3-2)評価指標のカスタマイズ手法の開発
地域社会が求める人材像、学校ごとのスクールポリシー、教育コンテンツ・サービスの特性などによって重視される評価の視点やそのウェイトにはさまざまな組み合わせがあります。(A-3-1)で開発する指標を地域、教育機関のニーズに応じてカスタマイズする手法を提供するとともに、教育コンテンツ・サービスベンダがそれぞれに持つ指標とを連携可能にするフレームワークの開発に取り組みます。