緒方チーム

教材/DTの流通、OKLMの開発、教材・講義ビデオ・問題の推薦機能、グループ編成機能の構築

タイトル教材/DTの流通、OKLMの開発、教材・講義ビデオ・問題の推薦機能、グループ編成機能の構築
研究代表機関京都大学
研究開発責任者緒方広明

本研究は、学習者が生涯にわたり触れる多様な教材や学習支援システムにおける学習内容を一貫した基準で評価・比較できる知識モデルと学習者モデルの開発を目指しています。教材から知識要素を抽出し、これらを統一的に管理・関連付けることで、異なる学習支援システム間での学習データの連携を可能にします。また、OKLMを用いることで、学習履歴や習熟度を推定し、学習者に最適な教材や学習パートナーの推薦が行える新たな学習支援を実現します。この取り組みにより、個別最適な学習支援と透明で公平な教育環境を提供することを目指しています。

OKLMとは

Open Knowledge and Learner Model (OKLM) とは、「学習者の知識状態と、学習に関する特徴を反映させたデジタルツイン (DT)」と呼ぶことができます。OKLMでは、あらかじめ学習教材を用いて作成した知識モデルと、学習支援システムから収集した学習者の学習行動ログを結びつけることで、「誰がどのような学習行動によってどのような知識を学習したか」を推定するモデルを作成します。このとき、学習者や教師は自身の学習者モデルを参照し、必要や条件に応じて修正することが可能です(学習者に対するオープン性)。また、教材から生成する知識モデルさえ用意できれば、いかなるドメインにおける知識をもOKLMで取り扱うことが可能です(知識モデルのオープン性)。さらに、OKLMが外部の学習支援システムにAPIを提供することで、OKLM内データを参照した高度な学習支援や、システム内での学習行動に応じたデータの更新を行うことも可能です(外部システムへのオープン性)。以上の3つのオープン性を兼ね備え、既存のラーニングアナリティクス (LA) の文脈に知識の観点を加えた学習者モデルが、OKLMです。

OKLM DTの例:知識モデル(教材)+学習ログ(LAシステム)

OKLM内の知識モデルは、知識項目とそれらの関連からなるグラフ構造によって表されます。学習者モデルは、知識モデルの各知識項目に、学習者による各項目に対するアクセス状況を付加することによって推定された習熟度を用いて表現されます。作成された学習者モデルは、LAシステムのインタフェース上で表現、可視化することが可能です。

OKLMは、学習者が知識を効果的に構築し活用できるよう支援するシステムであり、膨大な知識項目とリンクを持つ知識モデルを基に設計されています。これにより、論文推薦や英語学習支援に活用され、実際の授業で成果を上げています。

特に、英語文献講読での実証実験では、学習者の理解を深めるツールとして優れたパフォーマンスを発揮し、外部ユーザー向けAPIの開発も進行中です。また、学習者の特性を忘却曲線に基づいて分析する新たなアプローチにも取り組んでいます。

OKLM DTの応用例:グループ編成

グループ編成システムは、学生を異なる特徴に基づいて同質的または異質的にグループ化する革新的なアプローチを採用しています。このシステムは、混合遺伝的アルゴリズム(mixed genetic algorithm)を活用し、最適なグループ編成を行うことが可能となり、学習効果を最大化を目指します。

アクティブリーディングでOKLMのワードクラウド機能を使ってグループ成員の語学知識を可視化し、グループ議論を促進します。

OKLM DTの応用例:ピアヘルプ

ピア推薦システムは、OKLMデータを活用して、最適なピアヘルパーを推薦することで、学習者同士のサポートを促進します。このシステムには、学習者同士の相互支援を引き出す2つの特徴があります。

  • 一度助けてもらった学習者は、他の人を助けるように推薦される可能性が高まるため、支援の輪が広がります。
  • 推薦に使われたOKLMデータがUI上で可視化され、ヘルパー選択の参考にできるため、より適切なサポートが得られます。

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